【書評】東大卒、農家の右腕になる。|家業に活かせる3つの学び

農業の学び

農業は「経験と勘の世界」だと思っていませんか?

本記事では、東京大学卒の若者が農家に入り、“右腕”として経営を改善していく実話
『東大卒、農家の右腕になる。』佐川友彦、ダイヤモンド社 をもとに、

  • 本の要点
  • 学び
  • 家業(農業)への活かし方

をまとめます。

家業を継ぐか迷っている人や、農業をもっと良くしたい人にはかなり刺さる内容です。

2026年5月3日読了


あらすじ

東京大学を卒業したエリートである著者・佐川友彦は、大企業へ就職したのち、紆余曲折あり、栃木県の一農家である阿部梨園に飛び込む。

阿部梨園は、家族経営で人手も資金も限られた現場。著者は農業の経験もない状態からスタートし、日々の作業に追われながらも、「どうすればこの農家はもっと儲かるのか?」という視点で現場を見つめ続ける。

やがて著者は、単なる作業者ではなく代表の“右腕”として経営に関わり、小さな経営改善を進めていく。
その中で実践したのが、

  • 作業の見える化・効率化
  • 数値に基づく経営判断
  • 販売戦略の見直し
  • ITやデータの活用

といった、これまで農業現場ではあまり重視されてこなかった「ビジネス視点」の導入だった。

これにより農家の収益は徐々に改善し、組織としての体制も強化されていく。

本書は、農業を「経験や勘に頼る仕事」から、「再現性のあるビジネス」へと進化させる過程を描いた実践記であり、同時に、外部人材が現場に入り価値を発揮するためのリアルな試行錯誤の記録でもある。

本書の後半には、「小さな経営改善ノウハウ100」として
実際に阿部梨園で実践した改善事例が記載されている。
具体的な実践ノウハウは、小規模な農業経営者にとって大きな気づきにつながる内容である。


この本の本質

一言でいうと、

農業は“仕組みで伸ばせるビジネス”である

ということです。

勘やコツ、根性論ではなく、

  • データ
  • 再現性
  • 改善サイクル

で経営改善できる、というメッセージが一貫しています。


学び①:小さな改善活動の第一歩は「掃除」

印象的だったのは、経営改善プロジェクトのすべては「掃除」から始まった点です。

経営改善というと、

「この書類、この数字の意味はなにか」
「事業計画、ビジョンは正しいか」

と必要な情報を整理していくことから始まります。

一方、小規模の農家だと、その数字が分からない、どこに書類があるかわからない、
事務用品、農機具が乱雑に散らかっている状況です。

実際に、私の実家も不要なものや昔の農機具が乱雑に置かれており、
倉庫の中も私から見るとどこに何があるか全くわからない状況で、
農家は特に掃除が徹底されていない印象は当てはまります。

本書の中でも「掃除」から始めたことで、経営改善を従業員が自分ごととして
理解してもらえるような契機になっています。

掃除という結果が目につくことから着手したおかげで、目的やゴールがわからなかったとしても「これからに何か変化が起こるんだ」というシグナルが伝わった。

(出典:『東大卒、農家の右腕になる。』佐川友彦、ダイヤモンド社)

私自身、サラリーマンとして製造業の現場に入ることもあり、
5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)は当たり前の認識です。

現状は月1回、実家に帰って家業を学ぶ立場ですが、
両親の協力を得ながら、まずは掃除から始めたいと考えるきっかけになりました。


学び②:計画、数字がないと経営はできない

感覚ではなく、計画、数字で判断する重要性も強く感じました。

本書でも、著者が阿部梨園の代表の阿部に、
事業計画、財務諸表、生産や販売に関するデータを要求したところ
使えるデータが全くない描写が出てきます。

全体像も数字もない。経営者の感覚も言語化できない。お手上げのような状況ですが、これこそ日本の平均的な農家の現状なのだと察しました。

(出典:『東大卒、農家の右腕になる。』佐川友彦、ダイヤモンド社)

まさしく、私も父から「家業を継いでほしい」と言われた後、

  • 今年作る作物はどうやって決めているの?(計画)
  • どの田んぼ、畑で何の作物をどれだけの量作っているの?(生産)
  • どの作物はどれだけ売れているの?(販売)

など、といろいろ質問しましたが、返ってくる回答は
口頭ベースの曖昧なものや、JA直売所での売上データがExcel※でまとめられているもの
くらいで、家業の状況は全く把握できておりません。
※どの数字がどこから引用されているか不明。毎年記録はあるがフォーマットが異なり比較できない。

これらを把握しないままでは、家業を継ぐかどうか判断できないため、
まさしく本書に書かれている内容を、自身で把握するために
このブログを書きながら整理している状況です。

その5|計画先行

事業計画、年間計画、月間計画、生産計画、作業計画、販売計画、採用計画……。計画は登山ルートや航路図のようなものです。無くても進むことはできますが、迷って立ち往生したり、道を間違えたりするリスクが高くなります。遭難しないように、しっかり計画を作って活用しましょう。計画が先んじる事業は段違いの安定感です。

(出典:『東大卒、農家の右腕になる。』佐川友彦、ダイヤモンド社)

その6|計数管理

最低限必要になるデータは、「作業時間」「生産量」「(会計上の)収支」です。どんな作業をどれだけした結果、どれほどの量が作れて、事業としてどのような採算になっているかは営農活動の根幹、活動量そのものです。

(出典:『東大卒、農家の右腕になる。』佐川友彦、ダイヤモンド社)

逆に言えば、ここを整えるだけで、今後大きな可能性が出てくると感じています。


学び③:「右腕」という関わり方

この本を読んで気づいた最大のポイントはここだと思います。

農業に関わる=継ぐ(経営者になる)ではなく、

“右腕として関わる”という選択肢 です。

  • 現場を理解する
  • 経営者を支える
  • 改善を積み上げる

サラリーマンとして働いている私だからこそ、
家業を外から支えることができるのではないかと感じました。

「今すぐに継ぐ」のではなく、今の自分に合った関わり方を続け、
将来に向けた自分の判断の軸を学びつつ、両親の業務負担を減らせるように
貢献できないかと思っています。

このポジションは、特に家業を持つ人にとって新しい視点ではないかと感じました。


家業(実家の農業)に当てはめて考えた

自分は現在サラリーマンとして働きながら、実家の農業にどう関わるかを模索しています。

この本を読んで変わったのは、

「いきなり継ぐかどうか」ではなく、
“今の立場で何ができるか”を考えるようになったことです。

例えば、

  • 家業の考え方、ビジョンの明文化
  • 作物別の売上・利益の整理
  • 作業時間の記録
  • データの見える化

これらは現場にいなくても関われる部分です。

むしろ外で働いているからこそ、冷静に分析できる強みもあります。

参考ですが、本書で記載されている阿部梨園の経営理念、経営方針は以下です。
経営理念や経営方針があることで、何のために農業をしているのか、何を目指すべきなのかが
明確になり、いざというときに進むべき方向の判断の決め手になります。

▼ミッション
 「梨を通してお客様を幸せにする」

▼ビジョン
 「お客様に喜んでもらうための高品質な梨を生産し、販売する」
 「より一層お客様に喜んでもらえるよう、梨の価値向上に努める」
 「社会や地域の発展に貢献する」

▼行動指針・バリュー
 「梨にやさしく、自分にきびしく」
 「向上心をもち、経験を活かす」
 「よく観察する」
 「思いやりや気配りを欠かさない」

▼スローガン・信条
 「守りながら、変えていく」

※ミッション:何のために事業を行うか
※ビジョン :ミッションを達成するためのあるべき姿
※バリュー :ミッションやビジョンを実現するための日々の行動指針
※スローガン:信条。個人や組織が心の中で堅く信じ、行動や判断の基準として守り続けている考え方

阿部梨園の規模には到底及びませんが、せっかく家業に関わるなら、
こういう経営方針を整理していきたいと感じました。


今後やること(実践)

読んで終わりにせず、以下を実行します。

  • 作物別の収益性を整理する
  • 作業記録をフォーマット化する
  • 父との情報共有を仕組み化する

このあたりから、「右腕」としての関わりを作っていきます。


まとめ

この本から得た一番の学びは、

農業は“継ぐかどうか”ではなく、“どう関わるか”で価値が決まる

ということ。

家業を持っている人、農業をもっと良くしたい人にとって、
行動のヒントが詰まった一冊でした。


活動記録

実際に整理し始めている記事はこちらです。

少しずつ、家業を理解していきます。

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